売る

相続した実家(空き家)を売る前に知っておきたいこと

公開:2026年9月30日

こんな人に向けて書いています

  • 相続した実家(空き家)を手放したいと考えている
  • 駅や市街地、郊外の住宅地など、需要が見込めるエリアにある
  • まずは「今いくらで売れそうか」を知りたい
読者:実家、売ったほうがいいのかな…。でも、いくらになるのか見当もつかなくて。
くらふく:まずは何社かの不動産会社に査定を頼んで、「今いくらか」を知るところからだよ。1社だけだと、高いのか安いのか判断できないからね。査定を取っても、売らなきゃいけないわけじゃないよ。あわせて、相続登記と税の特例の期限も早めに確認しておこうね。

空き家は「持っているだけ」でも負担が増えていく

使われていない空き家は全国に約385万戸(総務省 住宅・土地統計調査 2023年)。5年前から約37万戸増えていて、相続した実家がそのままになっているのは珍しいことではありません。

ただ、空き家は持っているだけで負担がかかり続けます。

  • 固定資産税:住んでいなくても毎年かかる
  • 管理の手間:換気・草木・郵便物。遠方なら交通費も
  • 建物の傷み:人が住まない家は傷みが早く、売りにくくなる
読者:しばらく放っておいても、大丈夫だよね?
くらふく:管理が行き届かないと「管理不全空家」として自治体の指導を受けることがあるんだ。勧告まで進むと、固定資産税を軽くする「住宅用地特例」が受けられなくなって、税金が大きく上がることもあるよ。

売却の流れ

相続した空き家を売るまで
  1. 相続登記(名義変更)をする名義を親から相続人へ移しておく
  2. 何社かに査定を頼む相場を知る。1社だけでは判断できない
  3. 売り方と会社を決める仲介か買取かを、値段と早さで選ぶ
  4. 売り出し・内覧仲介の場合。買い手が見に来る
  5. 売買契約・引き渡し代金を受け取り、鍵を渡す
  6. 確定申告売れた年の翌年。特例を使うときも必要

かかる期間は、売り方によって大きく変わります。仲介は買い手が見つかるまで数か月以上かかることもあり、買取は条件が合えば短い期間でまとまります。

相続登記は2024年4月から義務

相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に登記が必要です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。2024年4月より前の相続も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

「仲介」と「買取」の違い

読者:「仲介」と「買取」って、何がちがうの?
くらふく:ざっくり言うと、仲介は「時間をかけて高く」、買取は「早く手間なく」。どっちを優先したいかで選ぶといいよ。
仲介時間をかけて高く
買取早く・手間なく
買う人
一般の個人など
不動産会社
売れる値段
相場に近い
仲介より低め
売れるまで
読めない
短いことが多い
仲介手数料
かかる
ふつうはかからない
荷物・傷み
片付けや修繕を求められることも
そのまま引き受ける会社も
向いている人
高く売りたい人
早く手放したい人・遠方の人

一括査定を使うと、仲介と買取の両方の話を聞いて比べやすくなります。

仲介手数料の上限

読者:仲介手数料って、いくらくらいかかるの?
くらふく:法律で上限が決まっているよ。たとえば1,000万円で売れたら、上限は39.6万円(税込)なんだ。

上限の計算は、売れた値段を3つに分けて足し合わせます(税込)。

  • 200万円以下の部分:5.5%
  • 200万円を超えて400万円以下の部分:4.4%
  • 400万円を超える部分:3.3%

なお2024年7月から、800万円以下の空き家などは、上限が税込33万円まで引き上げられました。通常の計算より高くなる場合があるので、契約の前に金額の説明を受け、納得してから合意しましょう。

相続した空き家の売却で使える税の特例

読者:売れたら、税金がたくさんかかるんじゃない?
くらふく:親がひとりで住んでいた家なら、売れた利益から最高3,000万円を差し引ける特例があるかもしれないよ。ただ、期限と条件がきびしいから、先に確認してね。

この特例は「空き家の3,000万円特別控除」と呼ばれ、売却で出た利益(譲渡所得)から差し引けます。主な条件を、チェックしながら確かめてみましょう。

特例が使えるかチェック

2024年1月以降の売却なら、買主が翌年2月15日までに耐震改修や取り壊しをする場合も対象です。特例を使うには確定申告が必要です。

2024年1月以降の売却で相続人が3人以上いる場合、控除は1人あたり最高2,000万円になります。制度の期限は2027年12月31日までの売却です。

期限と要件は必ず確認を

ほかにも細かい要件があります。「相続から3年」を過ぎると使えなくなるので、売却を考え始めた段階で、国税庁のページや税務署、税理士に確認しておきましょう。

一括査定サービスを使うメリットと注意点

物件の情報を一度入力するだけで、何社かの不動産会社に査定を頼めるサービスです。

読者:一括査定って、電話がたくさん来そうでこわい…。
くらふく:備考欄に「連絡はメールで」のように書いておくと、負担を減らせるよ。話を聞いてから、売らないと決めても大丈夫。

よいところ

  • 相場がわかる:並べると、極端に高い・低い会社が見えてくる
  • 手間が省ける:遠方でも、地域の会社を1社ずつ探さなくていい
  • 会社を比べられる:説明の丁寧さや、仲介・買取のどちらが得意かも比べられる

気をつけること

  • 査定額=売れる金額ではない:実際の値段は、買い手との交渉で決まる
  • 何社かから連絡が来ることも:連絡方法の希望を書いておく

よくある失敗パターン

いちばん多いのは、査定額がいちばん高い会社を、理由を聞かずに選んでしまうことです。高い査定額で契約を取ったあとに、値下げを提案されるケースもあります。「なぜこの金額なのか」の根拠(近くの成約事例など)を聞いて、納得できる会社を選びましょう。

よくある質問

相続登記が済んでいなくても査定はできますか?

査定の相談自体はできることが多いです。ただし、実際に売却の手続きを進めるには相続登記が必要なので、査定と並行して登記の準備も進めておきましょう。

家の中に荷物(残置物)が残っていても大丈夫?

査定の時点では、荷物が残っていても問題ないことがほとんどです。仲介で売る場合は引き渡しまでに片付けを求められることが多い一方、買取では現状のまま引き受けてくれる会社もあります。査定のときに、片付けが必要かどうか確認しておきましょう。

遠方に住んでいても売れますか?

売れます。現地の不動産会社とのやり取りの多くは、電話やメール、郵送で進められます。鍵の受け渡しや立ち会いが必要な場面もあるので、どこまで対応してもらえるかを最初に確認しておくと安心です。

兄弟姉妹と共有で相続した場合は?

共有名義の不動産を売るには、共有者全員の同意が必要です。売るかどうか、売った代金をどう分けるかを、事前に家族で話し合っておきましょう。

出典・参考資料

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。税金・相続・契約など個別の判断は、税理士・司法書士・弁護士などの専門家や各窓口にご相談ください。