まず整理する

実家を売る・貸す前にやっておきたい3つのこと

公開:2026年9月30日

こんな人に向けて書いています

  • 親の家を相続した(または、これから相続する)が、まだ何も手をつけていない
  • 売るか残すか、家族で話し合えていない
  • 何から始めればいいのかわからない
読者:親の家を相続したけど、何から手をつければいいのか…。
くらふく:あせらなくて大丈夫。売る・貸すを決める前に、まず「名義(相続登記)」「家族の話し合い」「家の中の片付け」の3つを整えよう。ここが止まっていると、どの道にも進めないんだ。

まず知っておきたい「期限」

読者:期限があるものって、あるの?
くらふく:いくつかあるよ。何もしないまま時間がたつと、選べる方法が減ったり、損をしたりすることがあるんだ。早い順に並べてみるね。
期限の早い順
  1. 相続放棄相続を知ってから原則3か月以内
  2. 相続税の申告(必要な人だけ)亡くなったと知った翌日から10か月以内
  3. 相続登記(名義変更)相続を知ってから3年以内
  4. 3,000万円特別控除で売る相続から3年後の年末まで

相続放棄は、実家だけでなくすべての財産を手放す手続きです。相続税の申告は、遺産の合計が基礎控除額を超える場合に必要です。くわしくは手放す方法のページと売却のページでも解説しています。

1. 名義を整える(相続登記)

読者:名義って、親のままじゃだめなの?
くらふく:売る・貸す・解体する、どれも名義が親のままだと進められないんだ。まずは「相続登記」で名義を移そう。

相続登記は2024年4月から義務

相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に登記が必要です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。2024年4月より前の相続も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

読者:兄弟で分け方が決まらなくて、登記できないんだけど…。
くらふく:それなら「相続人申告登記」で、ひとまず義務は果たせるよ。ただ、売るときはふつうの相続登記が必要になるからね。

親が持っていた不動産を一覧で確認できる

2026年2月から「所有不動産記録証明制度」が始まり、亡くなった親の名義の不動産の一覧を、法務局で証明書として取れるようになりました(窓口なら1通1,600円)。実家のほかに山林や田畑がないかを確認するのに役立ちます。ただ、登記の氏名・住所が一致するものしか出てこないため、古い住所のままの土地などは漏れることがあります。

相続登記は自分で申請できます。相続人が多い、戸籍をさかのぼるのが大変といった場合は、司法書士に頼むと安心です。

2. 家族で話し合って決める

読者:家族会議って、何を決めればいいの?
くらふく:誰が相続するか、実家をどうするか、お金をどう分けるか、だね。チェックしながら確かめてみて。
家族会議で決めておきたいこと
読者:話がまとまらないなら、とりあえず共有にしておけばいい?
くらふく:共有の実家を売ったり建て替えたりするには、原則として全員の同意が必要なんだ。共有者が亡くなるとその子どもたちに権利が分かれて、関係者がどんどん増えていくよ。できれば「誰が相続するか」を決めておこうね。

3. 家の中を片付ける

読者:片付けって、全部自分でやらなきゃだめ?
くらふく:量が多いときや遠方のときは、業者に頼むのもありだよ。売るか解体するかによっては、荷物ごと引き受けてもらえることもあるんだ。
片付けの進め方
  1. 残すものを決める写真・手紙・仏壇・貴重品を家族で確認
  2. 大事な書類を探す権利証・納税通知書・保険証券・通帳など
  3. 残りを片付ける多いときは業者に。何社か見積もりを

権利証(登記識別情報)や固定資産税の納税通知書は、相続の手続きで使うことがあります。業者に頼むときは、作業の範囲と追加料金の条件を確かめてから決めましょう。

片付けにお金をかける前に、相談してみる

買取の会社には、荷物が残ったままでも引き取ってくれるところがあります。解体する場合も、荷物ごと任せるかで費用が変わります。片付けに大きなお金をかける前に、売却や解体の相談をしてみるのも一つの方法です。

決まるまでのあいだも、最低限の管理を

読者:決まるまで、空き家のままでいいよね?
くらふく:管理だけは続けてね。荒れてしまうと「管理不全空家」として自治体の指導を受けて、勧告まで進むと固定資産税が上がることがあるんだ。
  • 月に1回くらいの換気・通水
  • 郵便物の整理(空き家だと気づかれにくくする)
  • 草木の手入れ、雨漏りや破損の確認
  • 近所の方に連絡先を伝えておく

遠方で通えないときは、自治体やシルバー人材センター、民間の「空き家管理サービス」を使う方法もあります。

よくある失敗パターン

  • 「落ち着いたら考えよう」と何年も放っておく:相続登記や3,000万円特別控除の期限が過ぎてしまうことがあります
  • 話し合わないまま片付けを始める:「捨ててほしくなかった」ともめやすいので、残すものは先に確認しましょう

よくある質問

相続登記は自分でできますか?

できます。必要な書類(戸籍謄本、住民票など)を集めて、法務局に申請します。法務局の窓口で相談することもできます。相続人が多い、書類集めが大変といった場合は、司法書士に頼むと確実です。

遺産の分け方が決まらないと、何もできませんか?

相続登記の義務は、相続人申告登記でひとまず果たせます。ただし、売るには分け方を決めて相続登記をする必要があります。話がまとまらない場合は、弁護士への相談や、家庭裁判所の調停という方法もあります。

準備ができたら、次は何をすればいいですか?

名義・家族の合意・片付けの見通しが立ったら、「売る・手放す・解体する・活用する」のどれが合うかを考えましょう。1分診断で、状況に合う選択肢をもう一度確認できます。

出典・参考資料

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。税金・相続・契約など個別の判断は、税理士・司法書士・弁護士などの専門家や各窓口にご相談ください。