手放す
売れない実家(空き家)を手放す方法と費用の比較
公開:2026年9月30日
こんな人に向けて書いています
- 売りに出しても買い手がつかなさそうな空き家を持っている
- 山間部や過疎地にある、または建物の傷みが激しい
- お金をかけずに、できるだけ早く手放したい

「売れない空き家」を持ち続けるとどうなる?
買い手がつかないからとそのままにしておくと、負担がかかり続けます。
- 固定資産税:住んでいなくても毎年かかる
- 管理の手間:草木・換気・雨漏りの確認。遠方なら交通費も
- 近所への影響:倒壊・瓦の落下・雑草・害虫などで、苦情や損害の責任を問われることも

本当に「売れない」か、一度確かめておく
「田舎だから売れない」と思っていても、査定を取ると値段がつくことがあります。古家付きのまま買い取ってくれる会社もあります。まだ査定を取っていないなら、先に売却の選択肢も見ておきましょう。
手放し方は大きく5つ
無償譲渡(0円で譲る)
- 手放す側の費用
- 少ない(登記費用などは話し合い)
- 期間・手間
- 受け取る人が見つかれば早め
- 向いている人
- 建物ごと誰かに使ってほしい
空き家バンクに登録
- 手放す側の費用
- ほぼかからない
- 期間・手間
- 見つかるまで読めない
- 向いている人
- 時間がかかっても地域に役立ててほしい
引き取り業者に依頼
- 手放す側の費用
- 費用を払う場合もある
- 期間・手間
- 条件が合えば早い
- 向いている人
- お金を払ってでも早く確実に
相続土地国庫帰属制度
- 手放す側の費用
- 解体費+手数料+負担金
- 期間・手間
- 1年以上かかることも
- 向いている人
- 土地の条件が合い、国に引き取ってほしい
相続放棄
- 手放す側の費用
- 手続き費用のみ
- 期間・手間
- 相続を知ってから3か月以内
- 向いている人
- まだ相続前で、ほかに財産もない
それぞれの条件と注意点を見ていきます。
① 無償譲渡:0円で「ほしい人」に譲る

よいところ
- 手放す側の費用をおさえやすい
- 建物を壊さず、誰かに使ってもらえる
気をつけること
- 受け取る側に税金がかかる:個人なら贈与税(年110万円の基礎控除あり)、ほかに不動産取得税・登録免許税も。先に伝えておくと話がまとまりやすい
- 法人に譲るときは、譲る側にも税金がかかることがある:税理士や税務署に確認を
- 取り決めは書面で:登記費用、荷物の片付け、あとで不具合が見つかったときの責任をどちらが持つか
② 空き家バンクに登録する
自治体などが空き家の情報を集めて、移住したい人などに紹介するしくみです。国土交通省の「全国版空き家・空き地バンク」で、全国の情報をまとめて探せます。

よいところ
- 登録にお金がほとんどかからない
- 移住したい人など、ふつうの不動産市場とは違う人に届く
気をつけること
- 自治体ごとに運用が違い、見つかるまでの期間は読めない
- 実際の契約は、自治体が紹介する不動産会社を通すことが多い
③ 引き取り業者に依頼する
売れにくい不動産を専門に引き取る業者もあります。値段がつけば買い取り、つかなければ手放す側が費用を払う形になることもあります。

気をつけること
- 費用の内訳(何にいくらかかるか)を確認する
- 引き取ったあと、名義がきちんと移るかを確認する
④ 相続土地国庫帰属制度:国に引き取ってもらう

主な条件
- 建物がない土地(空き家は解体してから)
- 境界がはっきりしている
- 抵当権などの担保が付いていない、土が汚れていない
- 共有の土地は、共有者全員で申請する
かかるお金と期間
- 審査手数料:土地1筆につき14,000円
- 負担金:承認されたら納める。原則20万円(市街化区域の宅地などは面積に応じて高くなることも)
- 審査期間:標準で8か月程度
解体費用とあわせて考える
この制度を使うには、先に建物の解体費用がかかります。「解体費+手数料+負担金」と、ほかの手放し方の費用を比べてから決めましょう。申請先は土地のある地域の法務局で、事前相談もできます。
⑤ 相続放棄:そもそも相続しない

まだ相続の手続きをしていないなら、家庭裁判所で相続放棄をして、実家を相続しない選択もできます。
気をつけること
- 期限がある:自分が相続人になったと知ってから、原則3か月以内
- 実家だけは選べない:預貯金など、ほかの財産もすべて相続できなくなる
- 管理の義務が残ることも:放棄の時点で実家を実際に管理していた人(同居していた、鍵を預かっていたなど)は、次の人に引き渡すまで家を守る義務が残る(2023年4月の民法改正)
- 家族に伝えておく:自分が放棄すると、兄弟姉妹などが次の相続人になることがある
相続放棄はあとから取り消せない手続きです。迷ったら、弁護士や司法書士に相談してください。
どれを選べばいい?

- 建物をまだ使ってもらえそう① 無償譲渡 か ② 空き家バンク
- お金を払ってでも早く確実に手放したい③ 引き取り業者(何社か比べる)
- 建物を壊してでも、国に引き取ってほしい④ 相続土地国庫帰属制度
- まだ相続していない、ほかに財産もない⑤ 相続放棄(期限に注意)
よくある失敗パターン
いちばん多いのは、「どうせ売れない」と決めつけて何年も放っておくことです。そのあいだも税金や管理費はかかり続け、建物が傷むほど、譲る・貸すといった道も狭まっていきます。相続放棄を考えていた場合は、3か月の期限を過ぎてしまうこともあります。
よくある質問
空き家を0円で譲ると、自分に税金はかかりますか?
個人に無償で譲る場合、ふつうは譲る側に所得税はかかりません。ただし、法人に譲る場合などは譲る側にも税金がかかることがあります。受け取る側には贈与税や不動産取得税などがかかるので、事前に税理士や税務署に確認しておくと安心です。
建物が残ったままでも国に引き取ってもらえますか?
相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地は対象外です。建物を解体して更地にしてから申請します。
相続放棄をすれば、空き家の管理から完全に解放されますか?
放棄した時点で空き家を実際に管理していた場合は、次の相続人などに引き渡すまで、家を守る義務が残ります。管理していなかった場合は原則として残りませんが、状況によって違うため、専門家に確認しましょう。
兄弟姉妹と共有で相続した場合は?
無償譲渡や国庫帰属制度の申請は、原則として共有者全員の同意(申請)が必要です。誰が費用を出すかも含めて、先に家族で話し合っておきましょう。
出典・参考資料
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。税金・相続・契約など個別の判断は、税理士・司法書士・弁護士などの専門家や各窓口にご相談ください。